どうも、あますです。
普段から出来る限り本を読もう読もうと思いながら、BOOKOFFや書店に行ってはその時目についた本を何冊かまとめて買い、なかなか読み進まないという事がよくあります。
1冊読み切ってから次の本を買えばいいんでしょうけど、1つに絞れない悪い癖です。
読み進めるのも同時に3冊くらいを同じ時期に読んでいたりします。
例に漏れず、『虐殺器官』も手に入れてから読み終わるまで1年以上はかかっていますね。
本の読み方とか選び方とか人それぞれで、知り合いによっても様々で、そのへんの話をするのも楽しいものです。
伊藤計劃 『虐殺器官』
伊藤計劃とは
本名、伊藤 聡
2009年3月、34歳でこの世を去った夭折の天才SF作家。
ということです。正直経歴や作歴、人間的な事は他のサイトの方が詳しいですし、おそらく亡くなられた当時から現在に至るまで相当多く語られていますからそちらを検索していただく方がわかりやすいでしょう。
あますが分かることは、亡くなられてなお、残した作品が取り上げられ、映画化され、賛否を問わず多くの方に語られているということ。
これは多くのクリエイター、アーティストにとって一つの理想でしょう。死してなおその名前が残る。カッコイイです。
『虐殺器官』
9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。
先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……
彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?
『虐殺器官』は伊藤計劃のデビュー作になります。
2006年に第7回小松左京賞最終候補となり、2007年に発表。「ベストSF2007」国内篇第1位、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位など、受賞歴多数。
サラエボで発生した核爆弾テロを引き金に世界中で戦争が激化、アメリカを始めとする先進国では最新テクノロジーを持って個人情報管理を進め、内紛やテロを抑止しようとしていた。他方、後進国では各地で内紛が起こっていた。しかもその渦中には必ず同じ人物がいてどうやらその人物が内紛を引き起こしているらしい。アメリカの特殊部隊に所属する主人公はその謎の人物を追う任務を受けて…。
みたいなお話です。
感想
まず読み終わっての感想は爽快感を感じました。
内容的には戦闘シーンも何回もあり、グロ描写もあるので決して爽やかな話ではないのになぜか?
作中で何度も登場する描写があって、主人公の部隊が任務に就く前に、任務に支障がでないように「心理状態の調整」、「倫理的ノイズへのマスキング」というようなカウンセリングを受ける事によって、端的にいうと極めて冷静に任務をこなすことが出来るようになるんですが、その心理状態が読み手の自分にも感染っているのかもしれません。
SFってもっとぶっ飛んだ世界かなって思っていましたが、この世界の細かな設定と描写と、現実世界の地名や時折出てくるピザとか、それらが相まって、確かに数年後には起こり得るだろうという現実感があります。もちろん本を読んでいることは分かっているんだけど自分の知らないところですでに起こっているんじゃないか?くらいに感じます。
そういう意味では『パトレイバー』の世界となんとなく似てます。『パトレイバー』の時代はもう通り過ぎてしまいましたね、残念。
余談ですが、劇場版『パトレイバー2 the Movie』を先日たまたま見まして、今あらためて見るべき映画だな、って思いました。とても面白いです。もう20年以上前にこういうことを考えていた人がいるんですよね。
見たことがない方はこちらも是非見てみてください。
伊藤計劃の事を知ったのは以前テレビで「PROJECT ITOH」の事をやっていたのがきっかけで、その時から映画化されることは知っていましたが、つい最近やっと『虐殺器官』を読み終えて、そしてなんとちょうどまさに今、映画『虐殺器官』が公開というタイミングに喜びを感じつつ、なんとも言いあらわせない気持ちもあります。
これは観に行かなければいけない。そんな使命感も感じつつ、近いうちに映画館に観に行きたいと思っています。
人によって、人物にしろ物や、こういった作品に対していつ出会うか?っていうタイミンが違うんだと思いますが、自分には今がまさに観るべきタイミングなんでしょう。
非常に楽しみです。
観てきたらまた感想など書きたいと思います。
それでは。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。